「菜の花」は春の風物詩ですが、“なのはな”という植物があるわけではありません。
一般的に菜の花と呼ばれるものは、「油菜(アブラナ)」と「菜種(ナタネ)」があり、どちらも『アブラナ科』の植物です。
昔はこのアブラナとナタネ、花を楽しむのではなく、油を取るために栽培されたものですが、最近日本ではほとんど栽培されておらず、河原や畦道によく咲いているのは、実はセイヨウカラシナという植物なのだそうです。
春になり、この黄色い花が河川敷や田んぼの畦道にたくさん咲く様子を見かけると、思わず “ 菜の花畑に入り日薄れ~♪ ” などと唱歌「朧月夜」を口ずさんでしまいます。実は、この歌の作詞者である高野辰之さんがこの歌の詩を作る際にイメージしたのが、故郷長野県野沢温泉村の菜の花畑だそうですが、野沢温泉村は野沢菜の産地で、菜の花畑はこの野沢菜の花畑だったそうです。野沢菜もアブラナ科です。
アブラナ科で黄色い花を咲かせると「菜の花」、まあ、菜の花=菜っ葉の花、ですからそれでいいのかな、と思います。
庄内地方でも、本格的な春になると土手や河原や畦道にたくさんの黄色い花が咲き乱れます。
桜の花と同じ頃に咲き、そして桜が散った後も、躑躅(ツツジ)が鮮やかに花姿を競う頃まで、花リレーの走者としてきれいな黄色を風に与えて人々の心を癒やしてくれるのです。