彼岸入りの日、実家の畑の隅に今年もまた彼岸花が咲き出しました。
今は亡き母が生前に植えた彼岸花、あれから10年、毎年必ずこの時期に咲いてくれます。
「彼岸花」はヒガンバナ科ヒガンバナ属(リコリス属)の多年草で、ちょうど秋のお彼岸の頃に花を咲かせることに由来してこの名がつけられました。別名「曼珠沙華」はサンスクリット語(manjusaka)で天界に咲く花という意味で、おめでたい事が起こる兆しに赤い花が天から降ってくる、という仏教の経典から来ているそうです。
彼岸花はこれの他にもたくさんの別名がある花です。(各地にさまざまな呼び方があり1000以上もあるそうです)
お彼岸に咲くことや、土葬をモグラや野ネズミなどから守るため墓地などによく植えられることから、「死人花」「幽霊花」「地獄花」とか、毒があるため、「毒花」「痺れ花」とか、またその花の様子から、「天蓋花(てんがいばな)」「狐の松明」「狐のかんざし」「剃刀花(かみそりばな)」「捨子花(すてごばな)」、咲く頃に雷が多いので「雷花(かみなりばな)」などなど・・・。
さらには、花のある時期には葉がなく葉のある時期には花がないという特徴から、「葉見ず花見ず(はみずはなみず)」と呼ばれてもいるそうです。
人々から色々な呼び方をされて、忌み嫌われたり、ありがたがられたり、祭り上げられたり落とされたり・・・、でも彼岸花はそんな自分に貼られたレッテルなんか全く気にすることもなげに、秋の雨を合図に一斉にその美しさを誇るように咲いています。
曼珠沙華 抱くほどとれど 母恋し 中村汀女
「不吉な花だと嫌う人もいるけど、花のせいじゃないのにねぇ。きれいなものはきれいなんだから、それでいいよ。」
静かに呟いた母の横顔が今でもよみがえります。
撮影地
山形県遊佐町庄泉
撮影DATE
Nikon Z 6
Nikkor Z MC 105mm f/2.8 VR S
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